やはりポジティブなイメージを持った人ほど、筋肉の発達が遅く自力で歩けるまでに時間がかかったそうです。上記の実験結果から、ポジティブシンキングがどんな時でも効果がある万能な考え方ではないということがおわかりいただけたかと思います。

 

エッティンゲン博士の論文によれば、ポジティブシンキングは、脳にあたかも目標達成したかのような幻想を与えるため、目標に向かう意欲を削ぐ可能性があるのだそうです。たとえば、とある文具メーカーの営業さんの話です。営業会議で部下が「今回の新しい鉛筆は、今のところ売れ行きは他社製品と比べて悪くないですが、非常に評判が悪いです。芯がすぐに折れるというクレームも少なくありません」という報告があったとします。

 

しかしポジティブシンキングを履き違えている上司は「売れ行きが悪くないならいいんじゃない? お客様の評判に惑わされることなく、営業が自分の商品に誇りを持って売り込んでいけば済む話。大丈夫」となってしまいます。

 

しかし、これではせっかくの重要な情報(ネガティブな情報)から目を背けているため、何の対策も講じられません。結果、今後この鉛筆の売上が落ちるばかりか、粗悪な鉛筆を売るメーカーとしてクライアントやお客様からの企業イメージさえ悪くなりかねないのです。

 

ポジティブシンキングを正しく使いこなせていれば、こんなことにはならないでしょう。楽観的とは「根拠もないのに、良い結果だけを期待すること」であり、そこに行動はともないません。しかし、ポジティブを「肯定的な言葉を使って考えること」だと間違って捉えている人に多いのが、楽観的な人。こういう人は現実やマイナスの事実から目を背ける傾向にあります。